2017年1月11日水曜日

 正月に実家に帰った時に立花亭のお菓子セットをもらって、入れ物の缶がかわいくて早く小物入れにしたいから隙を見つけてはお菓子食べてます。その中に「霜だたみ」というチョコパイがあって、初霜が降りた時の地面のサクサクした感触をパイの食感に見立てているらしく、なるほど〜うまいこと名付けたな〜と思ってます。
 前に畑などやってた時の冬の寒さを思い出します。朝市の準備のために日の出前に家に出るんですが寒い。放射冷却っていうのか、雲ひとつ無い綺麗な暁の空で、雪の降ってる時の湿っぽい寒さとは違うキーンとした寒さ、というか痛さ。野菜を保管する保冷庫に入るとあったかいと思うくらい。奈良の盆地なのでそんな感じなんですが、霜が降りるころになると地面に霜柱がたってシャクシャク鳴るようになる。冬は晴天が多いので日中になるとうってかわってあったかくなることが多かった。そうすると霜も溶けて地面がほんのり湿ります。
 そんな寒いと野菜も凍る。葉物野菜は凍ると一時的に変色してちぢれたようになり茎の表面がはがれやすくなったりする。凍ったまま出荷してはいけないので、他の時期とは違って厳冬期は朝に収穫することはありません。大体前の日の晩か、霜が溶けた昼に収穫したりする。用事があって朝に作業すると長靴の底から何枚も重ね履きした靴下を通して地面の冷たさが伝わって足が痛くなってくるので大変でした。大したもので、朝には痛々しく感じるくらいキンキンに凍って縮こまってた野菜も昼になって氷が溶けるとまた元通りにピンっと張るようになって、凄いなと思ってた。まぁ許容量以上の寒さにあてられると葉が黄色くなったり、枯れたりしますが。霜が溶けて葉に露がついてキラキラしてるのが綺麗だった。
 普通にスーパーで売ってたり、そもそも日本で流行っている野菜の品種って生食前提としたものが多い。若い時期に収穫すればその分柔らかくエグ味や苦味もない、より生食に適した野菜になる。んで大体スーパーに並んでる野菜はそのように食べやすい時期に収穫された野菜や早生っぽい品種が多いんですが、冬野菜に関しては、長い間畑に放置されて茎も葉も巨大になって固くなってるものが断然おいしいと思います。加熱調理するなら。特に水菜や壬生菜は放っといたら永遠に葉が増えていって、収穫しそこねた株が超巨大化したりします。直売所にいくと行き場の無くしたそんな葉物野菜がある時がありますが、僕はそんなのが好き。品種でも違いがあり、普通水菜は葉が細い品種、特に奈良には「千筋水菜」というのが多く出回ってますが、加熱用の筋が太いやつもあって、そっちの方がより味も濃くて歯ごたえもあり、おいしいと思う。
 野菜は寒さにあたると温度の低下から身を守るために糖分を作るらしく、それが冬野菜の甘みになるそう。白菜では、葉が開かないように紐でぐるっと縛ってから寒さにあてて、焼けた外葉を剥がして甘くなった中の部分を収穫する、という育て方もあります。イタリア野菜のチコリー類なんかもこうやって育てるみたい。知らずに適当に育てたことがあったけどめちゃくちゃ苦かった。ほうれん草の中でも特に甘くなる「ちぢみほうれん草」をほったらかして冬越えさせたことがあったんですが、とんでもない甘さになりました。りんごみたいな味!びっくりしました。逆にからし菜とかは寒くなると辛くなるっぽい。
 冬野菜は同じ野菜でも品種が山ほどあって非常にバリエーションがあってそれぞれに個性があって良い。例えば同じカブでも伝統品種が各地方にあっておもしろい。奈良の「飛鳥あかね」「日野菜かぶ」、島根の「津田かぶ」はうちの畑でも育ててた。飛鳥あかねは周りで育ててたの自分だけやって、種もあんまり売ってなかったけど、今もあるんかな。

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